2017年に韓国で公開されたパク・フンジョン監督の『魔女/마녀(マニョ)』。
主人公は一見どこにでもいる少女のように見えますが、物語の後半にはその姿からは想像がつかないようなアクションシーンの数々を繰り広げます。
観ている人たちは必ず「騙された!」と唸りたくなるような計算されつくしたストーリー。
今回は『魔女』のあらすじやネタバレを伏線も含みながらご紹介します。
『魔女』のあらすじ
ク・ジャユン(キム・ダミ)
引用:YouTube
何者かに追われていた少女が一軒の家の前で倒れています。
そこから数年後、少女は当時の記憶を失ったままその酪農家の娘ク・ジャユン(キム・ダミ)として育てられていました。
どちらかというと大人しく家族思いのジャユンは認知症を患っている母、そして歳をとった父の為にテレビ番組に出場し、優勝賞金を稼ぐことを決めます。
ジャユンはその番組で着々と優勝に近づいていきますが、そこで特技を披露するよう司会者から促されます。
ジャユンは手品と称し、マイクを浮かせて視聴者を驚かせました。
ですが、それを機にジャユンの周りでは怪しい人物たちが近づくようになってきたのでした。
テレビ番組では順調に勝ち進み、友人のミョンヒ(コ・ミンシ)と共にソウルへ向かいます。
ですがその電車のなかで突如一人の青年(チェ・ウシク)が話しかけてきます。
あたかもジャユンのことを知っていて、どこかジャユンに恨みを持っていそうなその男性ですが、ジャユンは一向に思い出すことができません。
記憶喪失であることを悟った青年はその場を去っていきます。
その後無事にテレビ番組への出演を果たしたジャユンでしたが、突如激しい頭痛に襲われてしまいます。
実は激しい頭痛は今回が初めてではなく、ジャユンは医師に余命2,3カ月と告げられていたのでした。
ソウルから戻ったジャユンの前に再び青年が現れます。
両親を殺すと言われたジャユンは驚いて急いで家に帰りますが、両親は無事でジャユンは安堵するのでした。
ですが、安堵したのも束の間、前にもジャユンの前に姿を現していた別の男の集団が家に乗り込んできます。
この集団もジャユンに恨みがありそうですが相変わらずジャユンは何も思い出せません。
ですが、友人のミョンヒが人質に取られた瞬間に一瞬にしてジャユンはその集団を皆殺しにしたのでした。
何が起こったか自分でもわからないジャユンの前に今度は青年とその仲間が現れます。
彼らはジャユンに自分が何者か知りたければ着いてこいと告げ、ジャユンは自分の秘密を知るべくついていくのでした。
『魔女』のネタバレ
引用:YouTube
たどり着いた先は遺伝子研究所。
そこには遺伝子研究者であるドクター・パク(チョ・ミンス)という女性がいました。
ドクター・パクにより自身の生い立ちを思い出したジャユン。
ジャユンはドクター・パクが作り出した人造人間だったのです。
ですがその凶暴性とあまりに強すぎる能力をもった幼きジャユンは上層部からの命令で殺されそうになったところを逃げだしたのでした。
改造され、限りなく高いレベルに脳を操作されたジャユンはいつ死んでもおかしくない状態で、ドクター・パクはそんなジャユンに鎮静剤を打ちます。
1か月に1回鎮静剤を討てば生きる事ができるとドクター・パクが告げた瞬間、ジャユンの態度は一変します。
そう、ジャユンは記憶喪失ではなく、自らテレビ番組に出てその特殊な能力を見せることでドクター・パクに自身を探させ、鎮静剤を手に入れるつもりだったのです。
ドクター・パクを負傷させ、鎮静剤の作成方法を探ろうとしていたところにジャユンの思惑だったことに気付いた青年と仲間たち、そしてジャユンの凶暴性を恐れていたチェ(パク・ヒスン)も現れます。
圧倒的な強さで全員を倒したジャユンは研究所を燃やして姿を消したのでした。
ジャユンが向かった先は病院に運ばれた両親の元でした。
幼い時からその凶暴性を制御できていないことに両親は気付いていました。
父親はジャユンに早く帰ってくるようにと声をかけ、ジャユンは自身の生い立ちの根本的な解決を望み、ドクター・パクの妹の元を訪れるのでした。
『魔女』の伏線
青年(チェ・ウシク)
引用:YouTube
あらすじからもわかるように、この物語は記憶喪失によって自分の能力を知らない少女が謎の特殊能力集団に自分の命を狙われる物語―恐らく誰もがそう考えていたかと思います。
ですが、ジャユン自身、自らが生き延びるためにドクター・パクを探していた、という驚きの展開です。
ジャユンを実の娘のようにかわいがって育ててくれた両親を選んだのも実はジャユンの計算によるもので、自分たちの子どもを亡くした家庭をわざと選び自分を見捨てないように育ててもらえる場所で身を潜めていたのでした。
また、ドクター・パクの改造によって並外れた頭脳を持つジャユンはそれだけの特殊な脳であれば10歳を待たずして脳が爆発して死んでしまうところを自らが病弱な少女を演じること、そして美術や勉強全てを人並み程度に抑えることによりその能力を温存していたのです。
そして、幼い頃から育ての親はしきりに実の両親を探していると思い込んでいましたが、実はずっとドクター・パクを探し続け、自身の生き延びる術を探していたのでした。
ですが、自身の余命が短くなってきたことで、自らの姿を世に出し、奇妙な力をわざと見せることで敵の目を自分に向けさせる作戦に切り替えたのでした。
記憶喪失の演技もジャユンにとってはお手の物だったのでしょう。
まさにどこまでも初めから全てジャユンが敷いたレールの上だったのです。
『魔女』のまとめ
引用:YouTube
いかがでしたでしょうか。
ストーリーの構成がかなり緻密に練られている為、最後の最後まで飽きることなく観ることができます。
そして肝心のアクションシーンも圧巻です。
高校生役とは思えないアクションの数々で能力の高い改造人間を見事に表現しています。
そしてこの映画『魔女』は次回作に続きます。
この緻密なストーリー、続編でも良い意味で期待を裏切られそうですね。
今から次回作が楽しみです。